「学習」は人の最も知的な活動の一つです.

ALST研究会では,この人の知的な活動としての「学習」の促進・支援を人工知能における重要かつ興味深い研究課題として捉え, そのモデル化とシステム化を中心に,人の学習に関する様々な研究発表や討論・交流の場を提供しています.

学習は人のあらゆる活動に伴って現れる遍在的な活動であると同時に,学習の対象や目標,そして学習者自身の経験や能力あるいは置かれている環境など, 様々な要因によって影響され,それぞれ異なった特徴を持つ偏在的な活動ともいえます.

このため,様々な視点からの知見や分析あるいは実践的な評価といったことが求められることになり, 情報工学・知識工学のみならず,認知科学から教育工学や教育現場での実践までもの広い範囲が必然的に興味の対象となってきます.

研究会名の一部となっている学習科学は,認知科学の成果をもとに学習プロセスを促進する仮説を立て, 実践によって理論の正しさや具体的促進法の有効性を立証しようとする研究分野です.

また,学習工学とは,情報工学・知識工学の成果をもとに学習プロセスを促進・支援するための技術・道具を作り出そうとする研究分野を指します.

どちらも,「学習」を既存の知見や技術・方法の応用・適用対象と見るのではなく,学習自体の持つ本質的な重要性を見出し, 新規性・独自性の高い成果を挙げていこう,という意思表明であるということができます.

この共に人の学習を主題とした新しい分野を融合的に発展させていくことがALST研究会の目指すところです.